中小企業診断士の資格を大学生だった僕が取った訳(1)

祖父の家から大学までは、目と鼻の先だった。

そんな理由で生まれ故郷の大学にすべり込んだ当時の僕には、自分の将来とか職業とか、何がしたいかなんて正直はっきりしていない。

高校を卒業する頃には、将来の夢があって進学先に悩む友達から相談を受けることもあれば、早くから社会人になってバイト以上のカネを手に入れようとするやつの野望をきくことなんかもあって、やりたいことがはっきりしている人たちの姿が不思議でならなかったくらいだ。

もちろん、高校生の頃は中小企業診断士なんて聞いたこともない。大学に入学してそこそこ経った頃でもまだ知らない。

じゃぁ、きっかけはなんなのかってことだけど、きっかけといえばきっかけのように思える出来事は、あるといえば、まぁ、ある。

簿記の授業でみんな揃って受けた検定の合格者一覧を見てハッとしたこと。

そんなとこだったんじゃないか。

きっかけは、簿記3級。

初めて聞く用語があったり、電卓叩いたりするから、苦手な人にとってはそれなりに難しさを感じるかもしれないけれど、ほとんどの人は10日で受かるとかなんとか煽ってくるテキスト通りに勉強すれば、たいした時間もかからず受かる資格。

だから、合格者もたくさんいる。ほとんどが受かる。

自分の番号が目に入っても大した感動もないまま、欠けることのない連番の一覧表を目で追い続けた。

そして思った。

あぁ、みんなと同じってなんか好きじゃないのかも。

だから誰も挑戦しなさそうなものはないかと変にひねくれ心に火がついた。でも、役に立たないものに時間を費やしたくはない。興味を持てて、将来役に立つかもしれないものがいい。そんなうまい話って何かないだろうか。ないだろうな。いやでも、あるかもしれない。

学内の売店で本を買ったら、ラックのチラシが目に入った。TACだったかLECだったかのチラシ。

ここで僕は初めて「中小企業診断士」の名前を知ることになる。

大学2年の夏。虫が多くて暑くてなんかやる気が出ない、そんな日だったような気がする。売店の出入り口横にはアイスの入ったショーケースがあったが、氷菓子を頬張っているような心境ではない。

チラシ片手に売店を出て、家路を急いだ。すぐそこなんだけど。

中小企業診断士とはなんぞや。

帰宅するなりGoogle先生に幾度となく問いかけながら、なんとなくざっくりと理解した。

その時頭に入った内容は、この程度だ。

  • コンサル唯一の国家資格
  • 勉強時間はそれなりに必要
  • 銀行員がキャリアアップのためにとる

そしてさらに情報を集めるほど雲行きは怪しさを増した。

  • コンサルは資格がなくてもできる
  • 多くは仕事と勉強の両立に苦しみ挫折する
  • 資格を取っても独占できる仕事はない

えー!全然いいことないじゃん。

それでも、何故だか資格を取ろうとする人はいる。本屋に行けばテキストも売っている。

はて、どうしたものか。

ざっくりすぎるけれど、当時の僕が決心するには十分だった。

言ってしまえば、資格がなんだとかそういうことじゃなくて、自分が自分に納得できる学びと、達成感と、ちょっとしたプライドの問題なのだ。自分は簿記3級で満足する男ではないのだ、と。

決めたぞ。

中小企業診断士に、オレはなる!

どーん。

漕ぎ出した先に何が待つのか、この時は知る由もなかった。